「マルチ」ってよく耳にしますよね。
マルチタスク、マルチメディア、マルチキャスト、マルチアクセス...などなど。
マルチの意味ってきっとニュアンスで「たくさんある」イメージで皆さん理解されていると思います。
今回は"multi"の意味をきちんと解説したいと思います。

まずはじめに、定義から。
"multi"の元になる単語は"multiple"になります。

multipleの基本の意味は「倍数」「倍数の」「複数の」という意味で、
multi-+~という形で連結語になりやすいのですが、その場合は「並行して複数ある」というイメージです。

このイメージを踏まえて、改めて最初に挙げたマルチの連結語の例の意味を見てみましょう。

multiを使った連結語の例

multitask マルチタスク。複数の処理を同時に行うこと。
multimedia
マルチメディア。音声・映像・文字などの複数の情報を組み合わせた媒体。
multicast
マルチキャスト。ネットワーク内で複数の相手を指定して同じデータを送信すること。
multidevice
マルチデバイス。
サービスやコンテンツを複数の端末(デバイス)間で共通して利用できること。

もうほとんどコンピューター用語としてカタカナで認識されていますね。

具体的な倍数表現

multiが「数倍の、複数の」っていうふわっとした意味なのに対して、「2倍の、3倍の」といった具体的な倍数表現がもちろんあります。
以下をご覧ください。

single 1倍の、1重の
double 2倍の、2重の
triple 3倍の、3重の
quadruple 4倍の、4重の


シングルとかダブルとか、みなさん倍数っていう意識なしに使われているんじゃないでしょうか。
そうなんです、シングルとかダブルって倍数なんです。トイレットペーパーの種類だけじゃないんです!
4倍までいくとあまり使いませんね。それ以上は、よっぽど詳細な話をする場合を除いて「multiple 多重の、複数の」が使われます。

数字を意味する接尾辞

数字を表す接頭辞も覚えておくと便利です。
接尾辞って言葉は難しいですが、簡単に言うと「先頭に付く単語の部品」ってだけです。例えばtriなど倍数表現の元になっているものもあります。
multiと一緒で無意識にニュアンスで理解されている方が多いと思いますが、
ちゃんと理解するとより深く意味を理解できるようになります。

●1を表す接尾辞:uni
例)
unicorn(ユニコーン) 一角獣
unicycle(ユニサイクル) 一輪車

●2を表す接尾辞:bi
例)
bilingual バイリンガル←2か国語話せる人。ちなみに3か国語話せる人は3表す接尾辞triを使ってtrilingualトリリンガル。
bicycle 二輪車(自転車)

●3を表す接尾辞:tri
例)
triangle トライアングル←3角形ですね!
trio(トリオ) 三人組

海岸にあるテトラポットですが、テトラ(tetra)は4を表す接尾辞で、4枚の枠からできた4面体です。
ちなみにアメリカの国防省のペンタゴンは5角形って意味で、もちろん建物は5角形。ペンタ(penta)は5を表す接尾辞です。
学生時代に化学が得意だった方、ペンタとかヘキサとか、懐かしいのでは?

そうそう、Unicodeのuniもこの接尾辞です。文字セットが単一の大規模文字セットであることが由来しているそうです。
システムとかプログラムって理系な要素が強いので、ドキュメントなどに数字に関する単語ってよく登場します。
今度数字に関する単語が出てきたら、ぜひ接尾辞をばらして意味を掴んでみてください。

ではこのへんで!

 
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