2011.09.08 yossy a.k.a. 会長
はいどうも~。
季節の変わり目っぽい天気が続いてますがまだ体調は崩していないエンジニアの吉田です。
今回は技術的な話ではなく一般的なお話にしたいと思います。
皆さん、「6人の盲目とゾウ」というお話を聞いたことはあるでしょうか?
今日は「6人の盲目とゾウ」のお話をを取り上げて、これをソフトウェア要求開発に
適用してみるとどうなるんだろうか、と考察してみたいと思います。
でわでわ早速。
「6人の盲目とゾウ」はこんなお話です。
むかしむかし、あるところに6人の盲目の修行僧がいました。
この6人は盲目、そう、目が見えません。
そんな6人をゾウに触らせてみて、それが何であるかを問うてみることにしました。
6人の修行僧は、それがゾウだとは知らされていません。
それぞれの修行僧はゾウを触り、こんな風に言いました。
(太字のところがポイントです。余分な言葉もくっついてますが気にしない。)
1人は、腹 を触ります。 「わー!これは立派な 壁 ですー!僕の人生の壁より大きいですー!」
1人は、牙 を触ります。 「これは 槍 では・・・!コヤツで憎きアヤツを突きまくってやりたいじゃ!!」
1人は、鼻 を触ります。 「ギャー!これは ヘビ じゃないですか!なに触らすんですか!まじヤダ!」
1人は、足 を触ります。 「これは 木の幹 だわね!かち割って薪にでもしてやろうかしら?」
1人は、耳 を触ります。 「これは随分と大きな うちわ ですね!下からパタパタ仰いで欲しいでげす!」
1人は、尾 を触ります。 「これは ロープ だな!しめしめ、アノ娘を縛ってやろうかな!?」
こんな風に、6人の修行僧が思い浮かべたものは、それぞれまったく異なるものでした。
ちなみに、冒頭にもある挿絵はこの様子を表しているものです。
このお話は、視野が狭いと全体の姿を把握することができないですよ、という寓話です。
では、このお話がソフトウェア開発とどのように関係してみるのか考えてみます。
ソフトウェア開発といっても様々な形態があるので、今回は受託開発を想定としましょう。
受託によるソフトウェア開発では、お客さまの要求をヒアリングするところから始まりますね。
このとき、既にお客さま自身が「盲目の修行僧」のような状態だったとしたらどうでしょう?
そう、ヒアリングの時点でシステムの「全体の姿」がまったく見えていない状態に陥ってしまいます。
しかも、この時点でステークホルダーは「全体の姿」が見えなていことにすら気づきません。
もちろん、結果的に残念なシステムを開発してしまうことになるでしょう。
次に、お客さまはシステムの「全体の姿」を把握していたとしても、その要求を
ヒアリングした開発サイドのエンジニアが「盲目の修行僧」だったらどうでしょうか?
この場合も、やはり「全体の姿」を把握することができず、残念なシステムが出来上がります。
なんだか、先日もみじ嬢が「ITプロジェクトとは」で紹介していたイラストと通ずるところがありますね。
この「6人の盲目とゾウ」のお話からは、どのようなことが学べるでしょうか。
いろいろな解釈があるかもしれませんが、次のようなことが学べるのではないかと思います。
・「今、自分が把握できているのは全体の要求のうちどの程度なのだろう?」と自問し続けること。
・そして、お客さまが「全体の姿」を把握していない懸念を考慮したうえで、要求を引き出すこと。
もし、お客さまが 「白いものが欲しい」 と言ったとしても、その要求の背後にある裏要求を読み取ったり、
話の中のさまざまな文脈から推測したり、一般的に公開されている情報などを参考にしたりすることで、
「いやいや、あなたが欲しいのは白いものではなく、少し光沢のあるクリーム色の、ほら、コレですよ」
と言ってあげられるようになるのではないでしょうか。
そんなわけで、お客さまから要求をヒアリングする際は、次のようなことが大切なのではないかと思います。
・常に「俯瞰的」な視点を持つこと。局所的な視点はケガのもと。
・口から出た言葉の100%を鵜呑みにしないこと。曖昧な点は確認、裏付けを。
・物事の背景や、前後の文脈に対し敏感になること。要求とは掘り起こすもの。
なので、お客さまの言っていることをただそのまま聞いているだけでは適切なヒアリングとは言えません。
お客さまの要求を正しく汲み取り、さらにその要求を上回るモノを提供してあげられる、
そんな喜ばれる技術者になれるよう日々精進しなきゃいけないなと再認識しました。
デワデワ。
【参考文献】
群盲象を評す - Wikipedia
盲目の男たちと象
「6人の盲人と象」を特捜せよ!
Market Researchers and Online Video: Blind Men and the Elephant
THE BLIND MEN AND THE ELEPHANT
Perception > Consider the Lilies of the Field