あきとのSES講座第7回、それでは講義を始めます。

 

今日はSES特有の営業くさいところを掘り下げていきたいと思います。

営業さんは結構馴染みあるキーワードだとは思うのですが、

エンジニアさんにはあまり理解されにくいところなのではないでしょうか。

 

今回の講義では、所属・商流・商習慣の3つのキーワードを追うことで、

核心となる「空気を読めるようになる」に近づきたいと思います。

 

今日はその前編、「所属」を綴っていきます。

 

 ▼所属

 

「所属」とはどういう意図で使用する単語なのでしょうか?

 

本来は、エンジニア個人が、給与の支払いや社会保険等、

正社員として保証している帰属先の会社を指します。

※個人事業主の場合、所属なしとする(フリーランスであることを公言する)場合と

 個人事業主が直接契約している、勤怠等のリスクを負う企業を指す場合の2通りあります

 

しかし、SESでは「株式会社○○の所属ということにしておく」というような

仮初めの帰属先を指して言う事がある点、注意が必要です。

その際は、常に、一社下の会社を所属先とする商習慣が生まれました。

 

↑最初のポイントはここです。

 

ここでまずエンジニアさんとしては、「なんでウソつくの?」という

疑問が出てくると思います。

こういう端々でグレーなところが、SESをダーティな仕事としてしまう

ひとつの要因であることは、疑いない部分です。

 

しかし、私としては、そういったエンジニアさんの疑問に、

なあなあな回答しかしないことこそが、

上記の理由以上の理由だと思います。

 

そこで、下記の私見を述べます。

 

以前のブログで、SESのビジネスモデルを考察し、

そこで、下記のように結論付けました。

-------------------------------------------------------------------------

慢性的な人手不足、さらにSEそのものに価値があるとされた事(需要)と、

個人事業主(主にエンジニア)がそれに応えようとした事(供給)

これが需要と供給の関係となり、市場化した。

市場化したことに目を付けた中小企業の事業者が、

マッチングサービス(需要と供給の橋渡し)を始めた。

※全文はこちら

 http://www.s-arcana.co.jp/tech/2011/03/sessesses.html

-------------------------------------------------------------------------

 

その中で、マッチングサービスは"わっ"と世の中にあふれました。

 

例えば、エンドクライアントとしては、100万円出しても欲しいSE。

SE個人としては、50万円もらえば請けてもいい仕事だと思ったとします。

 

その時、差額の50万円はマッチングサービスを行う企業に分配されても

契約が成り立ちます。

当時市場は、それを許すほどの需要と供給の関係が成り立っていたのです。

※今は60~70万程度に値下がりしていますが。。。

 

そうすると、1社あたり10万円の利益を取ったとしても、

エンジニアとエンドクライアントの間では5社絡むことが計算上可能です。

 

しかし、「所属」というキーワードを語る上で、

「モラル」や「建前」という、別の理由が浮上するのです。

 

私が思うにですが、

「何もしないでお金をもらうのは申し訳ない気がする」

という罪悪感なのではないでしょうか?

 

ちょっと余談ですが、「うちほとんど利益ないですから~」という

「利益ないアピール」をする営業さんが時々いるのも、同じ理由なのではと思います。

 

では、今日の核心です。

 

なぜ、「所属=エンジニアの最終帰属先の会社」ではないのか。

 

それは、「何もしないでお金をもらう罪悪感」が

「たくさん中間会社がいることを隠そうとする商習慣」に昇華し、

「今回の契約を受ける際にはうちが所属ということにしておいてね」という

大人の対応を求められるようになったのだと思います。

 

エンドクライアント A→B→C→D→E→F エンジニアの努める会社

 

上記のような場合、

A社に所属先を聞かれたら、「B社です」というのが正解。

D社に所属先を聞かれたら、「E社です」というのが正解。

 

そんな暗黙のルールが生まれたのです。

 

ただ、このルールは上記で述べた罪悪感だけでなく、

他の理由もあるのです。

 

A社の担当としては、そのエンジニアがB社の所属じゃないと知りつつも、

所属先を聞いた際には、「B社です」と言ってほしい事情もあります。

 

それは、A社はB社の取引口座(取引実績)はあるが、

C社の口座はないといった場合があります。

 

A社としては、とにかく人手がほしいので、新規口座開設といった

煩わしい手続きをしたくないといった意図があったりします。

そういった時、エンジニアが暗黙のルールを守ってくれるのは

都合のいいことなのです。

 

結論。

 

ひとつのSES契約に関連する様々な要因から、いちいち説明すると

面倒くさい事情が重なり、「なんとなく空気読んでよ」みたいな

商習慣が生まれた。

 

「所属」というキーワードを紐解くだけで、こんな大人な事情がでてきます。

 

エンジニアさんとしては、そういう煩わしいことには極力絡みたくないと

思いますが、仕事のためと割り切ってほしいと思います。

 

ちなみにお勧めは、そういうSES的な煩わしい所作を、まるっと依頼できる

営業さんをエージェントとして抱えることです。

 

そうすると、営業さんが代わりに空気を読みながら案件情報を拾ってきて、

相手先の営業担当と交渉をし、契約手続きを代行してくれることでしょう。

 

そのあたりを任せられない、信用できないような営業さんは、

あまり関わらないようほうが良いと思います。

 

ではでは、今日の講義はここまで。

お疲れ様でした。

 

 

 

 
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